骨盤内のがんに新たな治療の選択肢となる可能性を持つ「NIPP」。
医師と共に培ってきた技術を、必要な方々が“選べる”社会の仕組みに組み込むため、実臨床と制度の両面から事業化に取り組んでいます。 まだ十分に知られておらず、高額な自由診療に限られる現状を変えることが私たちの挑戦です。
NIPP(Negative-balance Isolated Pelvic Perfusion)は、骨盤内がんの治療をめぐる課題に対して、現場から生まれ育てられてきた治療法です。
医師主導で臨床への応用が始まり、長年にわたって実績と改良が重ねられてきました。既存の治療法とは異なる可能性を提示する存在として、あらためて注目を集めています。
NIPPは、特殊なカテーテルと閉鎖循環システムを用いて、骨盤内の血流を一時的に隔離し、高濃度の抗がん剤を局所に限定して届けた後、薬剤を体外で回収する治療法です。これにより全身への薬剤拡散を抑え、局所に高濃度の抗がん剤を灌流し、その後回収することで副作用も軽減されます。
- 子宮頸がん・子宮体がん:子宮の温存を希望される症例、再発・または通常の治療に抵抗を示す症例
- 直腸がん:再発、難治性の局所進行性直腸がん、手術適応の直腸がんで人工肛門手術を避けたい方
- 膀胱がん:浸潤性膀胱がん、局所進行性膀胱がん
骨盤内がんは、日本で年間約11万人が診断され、3万人が命を落とす深刻な疾患です。世界でも多くの方が罹患し亡くなっています。
NIPPは日本で開発されたカテーテル治療法で、標準治療後にも実施できる場合があり、再発・進行がんなど治療が限られる患者さんにも可能性を広げる手法です。
この治療法が広く普及し、保険適用によって誰もが受けられる選択肢となることで、より多くの人の命を救う力になると私たちは考えています。
現在は2030年の保険適用を見据え、NIPPの社会実装に向けた取り組みを本格化させています。医師主導治験や制度適合のためのエビデンス整備、関係機関との対話を段階的に進めるとともに、治療の普及と持続可能な運用モデルの確立を目指しています。さらに、適応拡大や新規薬剤への対応など、技術的進化を取り込みながら、必要とされる医療として確かな位置づけを得ることを目標としています。
医療機器の保険適用には、多様なステークホルダーと連携する共創体制の構築が不可欠です。
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日本IVR学会との連携、大学病院・専門病院などとの連携による臨床研究・評価(*現在調整中)
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大学病院・専門病院などとの連携による臨床研究・評価(*現在調整中)
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治療に必要なカテーテルや灌流装置等のデバイス開発・薬剤メーカーとの連携



